NPOあしたや ストーリー 【前編】

 僕が携わらせていただいているNPOあしたやのこの10年お歴史を紹介させていただきます。
2009年に代表の長尾さんが書いたものを書き写しました。
 少々長くて恐縮ですが、何か参考になったり共感して頂けたらありがたいです。


はじまりは「虹」・・・
 1995年にハンディのあるなしに関わらず、共に働く場とて市民団体、たこの木クラブ内に「たこの木企画」をスタート。天然酵母のパンや果物の注文配達、多摩市などのイベントのへ出店してきたことから始まった。
 「共に働く」ことを始めるに当たっては、1995年2月に「わっぱの会」の斉藤縣三さんを講師として学習会を開き、「共働事務所」の言葉をはじめて聞いた。その時に話された課題は「いかに皆が仲間として生きていくのか、いかに食べていくのか」。
 そして同じ年の9月には、たこの木クラブの企画で「共働事務所」展開をしている名古屋の「わっぱの会」見学を中心とした‘共に生きるバスツアー”を実施。
 2泊3日のツアーの帰り道、私たちを迎えてくれたのは多摩方面にかかる大きな美しい虹!!参加者一同、前途に大きな希望を感じ胸をふくらませた。


スタートは「はらっぱ」、そして自前の場「あしたや」
 1997年に多摩市公民館内の売店部門「はらっぱ」を他団体と共同で運営。これまでの配達に加えて初めて店舗活動が加わる。
 さらに、共に働く人の人数が増えたことや、場の狭さから第二の場として1999年に自前の店「自然食品と手作り雑貨の店 あしたや」を多摩市内諏訪商店街に開設。開設に際しては地域の方々からの借入金680万円とカンパ100万円でまかなった。


補助金助成金は・・・
 「共に働く場」を作っていくうえで経営基盤の強化・拡大が必要、その為に助成金を受けるとしたら何が私たちにとってよいのか(労働行政、ワーカーズ、福祉枠、企業組合など)、共同連発行の「共同事業所づくりハンドブック」や「共に働くシナリオ」などを手がかりに1年間かけて議論し、2000年に行政から「心身障害者(児)通所訓練等事業運営費補助金」を受け始める。
 この時に、作業所の補助金は受けるものの、私たちが目指しているのは一般的な通所訓練作業所ではなく、「共に働く場の」実現のためにこの補助金で”下駄を履かせてもらう”のだということを確認する。
・ハンディある人と共に働くことを目指し、能力によって賃金に差をつけない
・指導する側と指導される側という関係ではなく、対等に横並びでそれぞれやれることを担っていく
・具体的な働く場として「はらっぱ」「あしたや」を活用する。


そして今の姿は・・・
 2004年にはNPO法人あしたや共働企画として法人格を取得。
現在も公民館内「はらっぱ」と諏訪商店街の「あしたや」は健在。
ここで働く人は現在32名(有償22名・無償10名)となり、たこの木企画スタート時の6名から飛躍的に拡がった。
 「自然食と手作り雑貨の店 あしたや」は、ありがたいことに地域の商店街にしっかり根付いている。それに引き換え隣にあった大型スーパーは、私たちが開店してからこの10年で、4度も閉店され現在では、空き巣店舗のままの姿である。
 常勤者1名、他は全員パート。週5日勤務から週一勤務まで、また1日の時間数も8時間から4時間まで様々である。
 2009年4月時点での給料は常勤者も含めて全員同一自給で550円。
その他、通勤費・住宅手当・運転手当・常勤手当・を就業規則により支給。
支給基準は障害のあるなしに関わらず同一。
 毎年の総会では、「売り上げ増」とあわせて「仕事の充実」について、が大きなテーマにもなる。1日の仕事を終えた時に、充実感と達成感を得ることができるということは、次のステップにもつながる大切なこと、と考え、あしたやで働く人すべてがこのような働き方ができるよう、現在形でも模索している。
 自立支援法の施行を目前にしつつも、法内化はしていない。現在(2009年5月時点)も行政からの通所訓練の補助金(約988万円)と自力での売り上げによって運営を続けている。



                                 【後編】に続く