「中国新人類・八〇后が日本経済の救世主になる!」(原田曜平+余蓮著、洋泉社)を読んでみた

 原田曜平さんと余蓮さん共著の「中国新人類・八〇后が日本経済の救世主になる!」を読んでみたので、メモや感想を共有させていただきます。
 僕の中国人の友達はほぼ八〇后世代なので、大変に共感するところが多かったです。友人をマーケティング視点で見るというのは、若干後ろめたさがありましたが、消費パターンから捉えることで生活様式人間性等も見えてきて、ハッとなることもしばしばでした。やはり、中国は広い!!。
 

そもそも八〇后とは?


 僕の八〇后への印象としては「僕らとほとんど変わらない」というものです。僕は88年生まれなので、まさに八〇后世代ですが彼らと交流をしてる中で感じるのは、持っている感性のようなものが極めて近いと言うことです。特に、映画や漫画など文化的なものへのリアクションはほぼ同じではないでしょうか?しかしながら、やはり彼らのほうが消費欲が強いですし、未来への楽観を感じます。
 著者もそれに近い意見を持ちながら、八〇后の持つ市場性を強く主張しています。また、八〇后の特徴を①市場経済とともに成長②一人っ子が多く、お金をかけられて育った③大卒・ホワイトカラーが多い④ネットユーザーの多くが八〇后以下 として紹介しています。
 ハッとなったのが、八〇后の人口規模です。一人っ子世代ど真ん中世代なので、低人口なのかと思っていたのですが違うようです。実は八〇后はおよそ2億人にも達するとのことです。一人っ子世代が適用外だったり、守られていない地域や民族がいたり、上のある世代で人口が飢餓等で減ったこと等が原因のようです。ちなみに、八〇后の下の世代の九〇后も約2億人がいるとのことで驚きですね。
 八〇后は中国国内でも異質の世代と捉われているようです。わがまま、自己中心的等のネガティブなものや個性的、才能があるなどポジティブな面でも他とは異彩を放っているみたいです。以前、中国の学生の友人が「一世代上になると、途端に話が合わなくなる」といっていました。これって、日本の僕ら八〇后世代にも強く感じることです。その理由として僕はネットの影響が極めて強いと思っています。

2億人のネット市場=八〇后以下


 中国のネットユーザーは約3億人に達します。本によると、そのネットユーザーの31.5%が八〇后で、それより下も合わせると67.1%にも及ぶとのことです。つまり、中国のネットユーザーの大部分が八〇后以下であり、その数は2億人を超えるということです。日本の人口より多いって、これすごいですよね。
 したがってもちろん、ビジネスでもガンガンにネットが活用されているみたいです。例えば、中国不動産最大手の万科は、人気SNS開心網のソーシャル活用した結果、サイトへのアクセスが35%増加したそうです。 
 著者は、一人っ子世代の「寂しさ」がネット上でのつながり加速させると著していましたが、なるほどなと思いました。彼らと交流していると同世代のつながりをとても重要視しているように思えます。昨今の中国SNSの隆盛はそんな背景があるんですね。SNSが生活に重要なポジションを占めている様子は日本の若者以上かもしれません。

中国にもソーシャルな若者が
 
 著者は中国の八〇后を4つの種類に分類して説明しています。高額ぴん消費の「月光族」、社交消費を行う「洗練族」、先行消費を行う「透明族」、是が非でも消費の「飯族」です。どれも、実例やインタビューがのっていて、分かりやすく大変共感する分類で、あぁアヤツはこの族だなと、友人を当てはめながら読み進めました。
 特に興味深かったのが、社交消費を行う「洗練族」です。お金やモノよりも家族や友人、ボランティアなどのコトを重視する層らしいのですが、非常に成熟した消費スタイルらしく、まさに最近のソーシャル系と呼ばれる若者層に近いな思い大変興味深かったです。僕はこのような中国人にまだ会ったことがなく、どちらかというと、ガンガン消費してちょっとミーハーっぽい友人ばかりなもので、大変興味深かったです。一部の層にすでにこのようなタイプが存在し、マーケットとしては厳しいのではないかと書かれていましたが、個人的には是非話してみたいタイプですね。そういえば、以前ネット記事で、一部の中国八〇后の間でレンタルサービスが流行っているとも聞きました。日本のソーシャル系な人とも共感し合えそうですし、マーケット的にも最近はやり始めたシェアビジネスとかがそのうちあっちでもその層に受け入れられるかもしれませんね。なんだか、いろいろ将来が楽しみです。


やっぱ、僕らそんなにかわらんよね

 読んでいてやはり感じたのは、中国の八〇后と日本の八〇后は似ているなということ。マスメディアのバイアスでついつい中国と言うのは近くて遠い国という印象が先行しがちですが、僕ら若者世代関して言えば、ネットがあり、わがままで、上から叩かれ、さびしがり屋で、つながって、シェアする。
 もっと中国ソーシャルメディアを使いこなせるようになって、近い距離で多くの中国八〇后とコミュニケーションが出来るように頑張ります。