NPOあしたやストーリー 【後編】

前編 http://d.hatena.ne.jp/gangjun/20110629/1309327009
に続き、NPOあしたやが今に至るまでのストーリー(代表執筆記事)
を載せさせていただきます。


お店・経営としては・・・

 潰れそうで潰れない「あしたや」経営方法については、、私たちなりのこだわりを通してきた点も大きいと思われる。地域の店として生き残っていく上で大切なことを出し合い、出来ることを実践しているのだが、多摩市内における活動の積み重ねの中で多くの支援者・協力者の力も借りて日々の運営を続けている。
・扱う品物については、出来るだけ生産者と直接つながりたいと考えている。お客さんに説明できる中身を勉強するため、行ける範囲で出来るだけ多くの産地訪問や研修を毎年全員で続けてきた。また、内容や情報を提供するため毎月欠かさず発行している情報誌に掲載するなど「他店にない強み(商品の差別化)」を伝える努力をしている。
・こまめに地域への配達を続けている。(1000円以上、市内及び近隣地区・無料)高齢化をしてきた多摩ニュータウンの中で、お客さんとのコミュニケーションの大切さや情報交換できる店でありたいと、日々接客している。
・市の公園掃除を受託したり、協力してもらえる保育園の床掃除や、窓拭きでの固定的な仕事を得る。
・近隣保育園での食材やトイレットペーパー、洗剤などを受注し、こまめに対応できるような関係を作ってきた。さらに古紙回収や食廃油を回収し、リサイクルした製品の配達をするなど循環させるシステムにも取り組んでいる。
・年二回の「オーガニック市」の開催では、新聞折込で宣伝活動をするなど、それなりの経費を使って、イベントを仕掛けて成功している。
 年二回の催しであるが、店頭で生産者が直接商品の試食販売をするなど、あしたやらしい多くのつながりを実感する機会ともなっている。回を重ねるごとに盛況となり、売り上げの数字も小さな店とは思えない数字を実現してきた。さらに地域商店会や近隣自治会などの協力関係も作り、商店会長さんからは「あしたやのお陰で、うちにもお客がいっぱい来てくれたよ・・・」との言葉があり、地域活性にも一役買っている。


大切にしてきたこと

 「共に働く」をいかに具体的な仕事として作り出していけるのか・・・。そこには長年の積み重ねの時間の中で獲得してきた、”働くもの同士の共感”がある。例えば、毎朝の打ち合わせの際にその日一日の仕事の流れを、組んだ者同士できちんと了解の上、段取りを考えるなど、小さなことと考えられがちな所に一方的でない関係のあり方などが宿るのでもある。
 また、月に一度の「あしたや」「はらっぱ」両天が休みの時には、スタッフ全員が集まる「定例会」を当初から欠かさず開いてきた。この場は、私たちが特に大切なものと位置づけ、定款の規則にも定めたもので、運営の中身や店のあり方についての情報交換の場である。運営について話し合ったり、商品の勉強会や店の問題点などを話しあうことで、自分たちの働く場・店としての自覚をもつ上でおおいに役立っている。


課題は・・・

 当初数名でスタートした「共に働く」が、今や32名もの大所帯となり、仕事の幅も規模も大きく広がり、この十数年、地域の中で実践してきたことはあらためてすごいことだと考えている。
 しかしながら、年月が経って解消しない課題もより鮮明になってきた。みんなで必死に頑張った売り上げと、貧弱な行政の補助金では生活できる自給を出すことは出来ない。とりあえずの目標として掲げてきた法定最低賃金にいまだ達せず、障害者はあしたやの給料に加えて年金または生活保護を受けざるを得ない。また、健常者は常勤者を除いて、家族の収入により生活している。 
 資金難と仕事の中身の不足から、勤務日数を増やしたいメンバーの希望にも応え切れていない。  
 また、意思疎通が難しかったり、多くの人の中で一緒に働くことを続けていくのに大きなストレスを感じているメンバーにとって「共に働く」って何であるのか・・・
 立ち上げから元気に関わってきた第一世代も、年月と共に高齢化してきているのかで、世代交代も重要な課題である・・・・

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 いかかでしたでしょうか?
長い文章を読んでいただきありがとうございます。
皆で力を合わせてやってきたあしたやですが、今もなおいくつもの課題と向き合いながら前進しています。
学生として傍から見ていて、一人ひとりの大事な「つながり」が力を生み、ここまでの歩みを可能にしてきているのだと強く感じます。

もし、NPOあしたやのストーリーに共感していただけたら、また新たな「つながり」として皆さんとも一緒に歩んでいけたら幸いです。