「口コミ」超大国チャイナ!! 中国(アジア)SNSを読む

 
  3.11震災の当日から数日にかけ、この画像に「(こうしたマナーの良さは)教育の結果。(日中の順位が逆転した)国内総生産(GDP)の規模だけで得られるものではない」という説明がついた投稿がweibo(中国版Twitter)上にて、大変な勢いで駆け巡りました。RTは7万回以上され「中国は50年後でも実現できない」「とても感動的」「われわれも学ぶべきだ」等という日本へのポジティブな意見がTLを賑やかしました。
               ( 参考  MSN 産経ニュース   中国、日本人の冷静さを絶賛 「マナー世界一」の声も http://bit.ly/hpQrU9 )


中国SNSの大きな特徴「口コミ
 
 上記の様子はまさに口コミですよね。一時的ではありますが、7万回というRTによって日本に対して好印象を持った中国人は少なくないはずです。
中国人は自分の話をするのが大好きです。大陸文化なのか自分を主張するというコミュニケーションスタイルが一つの国民性になっていると言って良いと思います。それは、ネット上でも然りであって、中国SNSの大きな特徴と言えます。

 この本を参考に進めたいと思います。全体的に中国ITによる社会情勢の変化が知らされているので、中国ITにおける企業動向は宮田将士さん(普千 商務信息有限公司)20Pほどの記事しかありませんでしたが、大変興味深かったので簡単にシェアしますね。

 中国IT人口は4億人と言われているだけに、SNSを含む中国ITにおけるPR活動は企業において非常に重要なものであり、特徴である「口コミ」をどう利用するのかが利益を大きく左右するとのことです。確かに僕の中国の学生の友人はネットで買い物をする時ネット上の口コミを必ず見ていました。
 著者いわく、口コミにには大きく2種類存在するとのことです。ひとつは、「CGM(Consumer Generated Medeia)」を通じた意図的に評判形成されたものであるということです。つまりはマスメディア→ウェブ→CGMへという口コミを意図的に作るのです。マスメディアの情報はすぐにウェブ上へと流れ込みます。したがって、このようなWEB評判の形成をお手伝いする企業も既にチラホラあるみたいです。この口コミ形成によるところのメリットは、口コミの流れを客観的に見れ計測が出来るということで、逆にデメリットとしてはユーザーからの「やらせ」不信感が完全にぬぐえないということです。
もう一つは、自然発生的口コミです。インフルエンサーSNS上で発信したものがユーザー上で転載により拡散していくという流れですね。これは規模としては、大きいものは難しいけどやはり知り合いからの情報、体験やプロセスを共有するということは与える影響が大きいですよね。そういえば数年前、福島県JETROと組んで中国のインフルエンサーを呼んでのSNS口コミ戦略を実施してましたね。以前、ブログにて紹介しました(よろしければ!)→ http://d.hatena.ne.jp/gangjun/20110623/1308794813
僕もいつかインフルエンサーになりたいです〜
 
「口コミ」による企業の健全化へ
 
 著書は中国SNSのリスクとして企業情報の漏洩も指摘しています。従業員のITリテラシーの低さによる内密情報の漏洩と、不祥事などのネガティブ情報の拡散です。前者は企業にとってコントロール内ですが後者はコントロール不可もモノですよね。でも、社会全体から見れば企業の健全化が進みということで非常に好ましいことだと思います。特に食の安全性の問題においては社会問題になっていると聞きます。日本でも餃子事件がありましたが、中国ではあの程度は日常茶飯事ですし中国人自身もどうにかしなければと考えています。したがって、WEBでの評判が企業の価値を決める流れは間違いないですし、いわゆるブランディングということが中国で生きていくために重要な要素を占めてくるようになるとおもいます。
 個人的にワクワクするのは、そのような流れを作っているのが僕と同じ若い世代だということです。4億人のネットユーザーのうち約7割が80年代以降の生まれです。つまりは、今の20代〜30代を中心に中国企業の健全化、クリーン化が推し進められているといっていいのだと思います。これが、政治的な流れになるかという議論は置いといて、ネットを活用し若者が社会をよくしうるという可能性に刺激を受けます。  


実はこれはアジア全体の特徴(日本を除く)


 中国のSNSでは自分の意見を主張する人が多く口コミが盛んであるという話をしてきましたが、実はこれは中国だけの特徴ではなくアジア全体にいえることなのです。

 こちらのp83〜p85からの「国別調査 ソーシャル・ウェブの利用状況マップ」という項に詳しいです。まず、驚くのはアジアがソーシャル・ウェブが最も普及しているという事実です。BRICs諸国をはじめとする新興国ではソーシャル・ウェブが非常に盛んで特にやはり中国とインドが注目です。ユーザー数も膨大なのですがやはりその積極的な利用性です。例えば、中国とインドのソーシャル・ウェブ利用者のうち、ミニブログに投稿したことがある人の割合はアメリカの3倍に上り、ビデオ共有の割合はアメリカの2倍というデータが記させています。アメリカ人がブログを書いたことがある人の割合が15%未満にとどまっているのたいして、新興国においては最大45%に上るというのです。社会への不信感が背景なのか、理由はよくわかりませんが、これはすごいことだと思います。世界の経済をアジアが率いていくというのは既によく言われていますが、ソーシャル・ウェブをも率いていくポテンシャルを持っていることを示していると思います。
 ちなみに、日本はアジアの中での異質な利用スタイルみたいです。2008年のmixiのデータなので今とはいくらも違うかと思いますが、そのデータによるとSNS内での各ユーザーの友人は比較的少なく、コミュニケーションスタイルも家族や親しい友人間内での内輪型ということです。まさにムラ社会ですね。Twitter上にてたまにmixiタイプの内輪型コミュニケーションで活用しているユーザーを見かけるとなんだかもったいないなぁと思ってしまいます(まぁ、使い方なんて人それぞれ自由かとも思いますが) ほかにも、韓国や欧州などの面白い情報がマップとして見やすくまとめられているので、興味あるかたは是非手にとって見てみてください。

 ビジネスとしても、アジア間の交流としてもアジアSNS事情は非常に面白いと思います。アメリカの最新情報をキャッチアップすることも大事ですが、視野を広げてみればまったく違った大きな可能性も見えてくるのではないでしょうか。